私は、大阪で親子料理教室こどもキッチンを主宰しています。石井由紀子です。
1歳半~3歳、2歳~未就学児、6歳~小学生のクラスがあります。
いずれも親子でいらしていただいています。
自宅教室の他、市内の公共施設、大阪市内の短大などで開催しています。毎月、10~12日ほど教室や講座に、大人・子どもあわせて約100名の方たちにおいでいただいています。この3月でスタートから8年が経過し、9年目に入ります。
今の仕事をスタートする前は、新卒入社した企業に長く勤めながら、結婚、出産、産休育休後、復職し、子育てとの両立に必死の毎日でした。そして「本当にやりたい何かが見つかれば、それをやろう!」との想いが漠然とありましたが、なかなかその「何か」は見つかることはありませんでした。
そんな中、長女が1歳だった頃に坂本廣子先生の「台所育児」という著書に出会いました。また、保育園のママ友から「こんなにおいしいのだから、料理を仕事にしたらいいのに」という言葉をもらうなど、今の道につながるきっかけがありました。
その後、仕事のかたわらコーチングを学び、モンテッソーリ教育の教員養成コースを受講・完了しました。そして、とあるセミナーで聴いた「家の中で子どもが育つ環境は、台所にしか残されていない」という言葉が決定打となり、やりたいことが明確に見えたのでした。
「台所仕事から子どもの自立をつくる」これを親子料理の形でやってみよう!と決め、2歳~未就学児のクラスを、月1回・日曜日の教室としてスタートしました。
決めてからスタートまでは、超特急でした。プログラムを組み立て、パン教室を主宰していた知人に一緒にやろう!と声をかけ、必要な料理道具を購入し、家の中に道具類をストックする場所を確保し、チラシをつくる、楽しい毎日でした。道具類を購入するのに最初20万円ほどかかりました。なお、料理教室をするには、特に資格は必要ありません。
会社員として勤めながらでしたので、仕事中は仕事に専念し、お昼の休憩と会社までの往復の電車の中で、企画しました。「来月のメニューは何にしようかな~?」「ここの作業は、こうしたら、小さい子どももできる!」などと教室のプログラムを組み立てるのがすごく楽しくて、毎日わくわくしていました。
また、2歳という小さい年齢の料理教室は、当時かなり稀だったようで、教室スタートして3ヶ月後、3回目にして、席が一瞬で「満席」になりました。ミクシィでの告知で一気に集まったのです。
だけど喜びもつかの間、翌月には「お申込みが来ない!どうしよう!?」といった感じで、スタート当初はアップダウンが激しい状態が続きました。正直、「赤字になるかも!?」とヒヤヒヤで、「ダメなのかも・・」と自分がやっていることにダメだしすることもありましたが、この時私を支えてくれたのは、一緒に場をつくってくれたパートナーの存在と、「この教室は必ず『子どもの自立をつくる』ことにつながる」という確信に近い気持ちだけでした。
スタートから8年の間に、教室を通して子どもたちの<自立>した姿にたくさん出会ってきました。通い続けて下さった子どもたちの中には、例えば・・・
・好き嫌いが激しかったのに、出汁のおいしさに惹かれて食が進むようになり、お母さんの仕事の帰りが遅い時には、自分でご飯をつくって待ってくれているように(小5)
という台所仕事にまつわる自立もあれば
・私立小学校受験のために1年の年月を勉強に費やし、見事合格したにもかかわらず、本当に自分が行きたいのは違うと、地元の小学校への進学を自らの意志で決めた(年長)
という台所を超えた自立もあります。
「この教室は必ず『子どもの自立をつくる』ことにつながる」という確信に近い気持ちは、今、現実となって私の前に現れています。そして、結果をお知らせいただくたびに、うれしい驚きに包まれ、「やってよかった-!」と思う自分がいるのです。
自宅教室や自営業を仕事にする場合、家族の理解と協力が確実に課題となります。私の場合、今はとても協力的なだんなさんですが、会社員を辞しこの仕事にシフトする時には、反対されました。安定した職業を捨ててまで仕事をシフトする必要は、当事者にしか実感できず、反対は当然のことだったのかも知れません。
家族に理解してもらえないのは、本当につらいです。
でも、どうしてもこの道に進むことをあきらめきれず、一つひとつ折り合いもつけながらやってきました。子育てしながらの自営業は、家族の協力なくしてはできないのです。
結果を出し続けることで、周りの理解は深まります。そして今では、私がこの仕事にスッと向かうことができるよう全面的にサポートしてくれている家族に感謝し、本当にうれしい毎日です。
◇これから自分の仕事を自分で創り出そうとする方たちへ
しんどい!楽しい!わくわくする!うまくいかない!やったー!
やり始めると、いろんな気持ちが出てきます。
そして、それはそれとして置いておき、
やることをただやり続けたその先に、はじめて見える景色があります。
個人がオリジナリティを発揮することは、本当にパワフルです。
チェーン店にはない美味しさ、とでもいうのでしょうか。
活動をスタートされたらしばらくは、試行錯誤で続けるということになるかも知れません。そして、うまくいったらうれしいし、うまくいかなくてもどうしても辞める気がしない、そんな気持ちが浮かんでくるのであれば、それはほぼ確実に、あなたがやりたくてしかたがない、自分の人生に欠かせない仕事に出会った瞬間だろうと思います。
石井 由紀子
親子料理教室こどもキッチン 主宰
http://blog.kodomo-kitchen.com/
18年の会社員生活の後、親子料理教室を主宰・講師に転身。「台所から子どもの自立をつくる」を意図した教室、セミナー、ワークショップをオリジナルで構築し、1歳半~3歳親子、2歳~未就学児親子、小学生親子対象の料理教室や大人対象の講座として提供している。大阪府茨木市、大阪市内の親子料理教室の他、大人のための講座やグループセッションについては、出張スタイルにて実施。食育コラムの執筆や外部の講演活動にも力を注いでいる。一男二女の母。教室参加者数:のべ6,030名(子ども2,940名、大人3,090名)2015年9月末現在。CTNコーチング連続講座完了生/モンテッソーリ教員有資格者/消費生活アドバイザー